ちぃの防災ラボ

もしもに備えて妄想と勝手に研究しているブログ

【レビュー】災害伝言ダイヤル171(東日本)を実家の母親にテストしてもらったら。親子が出した結論は?

以前、 災害用伝言ダイヤル171を体験日にテストしてみたことがあります。携帯電話との連携もでき、よくできた仕組みだと思いました。単純にそう思いました。しかし、そのときは自分一人で何役もこなし、自分だけのテストでした。 

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  はたして、これを家族間でやってみるとどういうことになるのでしょうか。

実家の年老いた母親にテストしてもらった

災害伝言ダイヤル171の仕組みはいたって単純。電話番号をキーにして、伝言を録音、再生するだけです。(実は、そんなに簡単ではないことは、この後で)

実験者は、

★私(東京)auスマホおよびPCを使用

★実家の母(関東エリアの老人)家の固定電話のみ

母は携帯電話を持ってなく、インターネットもできないことが、悩みどころです。

まず最初に

下準備として私の携帯番号をキーにして安否を登録しておきました。(スマホで171へ)

「〇〇(私)です。自宅にいます。無事です。心配しないでください。」という伝言を録音し、その後、なんの予告もなしに、実家の母に電話しました。

実験開始

私:「もしもし、今日は災害用伝言ダイヤルが体験できる日なの。私の安否の伝言を入れたからさ、今からそれを聞いてみて」

母:「ふ~ん、117だっけ?」

私:「ちがう! 171 だよ! 伝言聞いたら、自分でも伝言を入れてみてよ」

母:「そんなの、何言えばいいか、わからないわよ。その時の状況によって、入れることもちがうものぉ」(←悩みどころがズレている)

私:「いいの!練習なんだから。なんでもいいから、しゃべっておいて」

母:「ふ~ん、わかった。それじゃね」

この後、30分たっても音沙汰なし。もちろん伝言もなし。こちらから、かけてみる。

私:「伝言、聞いた?」

母:「いやまだよ。だって今、ごはん食べてるんだもの」

はいはい・・・そうですか。ごはんが先なのね。私、さっきから待ってるんですけどね。仕方なく30分後に体験を実施することを約束して、しばしランチが終わるのを待つことに。お年寄りにその気になってもらうのは至難の業です。

母:「伝言、入れたわよ!聞いた?」

私:「いやまだだけど。それより、私の伝言は聞けたの?」

母:「聞いてないわよぉ~。だって、入れてないじゃない」

はいはい・・・やっぱりね。そうなりましたか。予想どおりです。

どの番号に登録したのか、認識にズレが生じました。

私:「お母さん、どの電話番号で安否確認したの?自分の電話番号でしょ。私は私の携帯番号に自分の安否を入れておいたのよ」

母:「だめよ、それじゃ!(←私が批判された)」

私:「いやいや、ダメじゃなくて。本来の使い方は、自分の電話番号に自分の安否を登録するものだから」

ここです!!私が初めて体験した時も、また身近な人で実験した時も、最初にぶち当たる壁は、まず最初に「誰の電話番号を入れるの? 自分? あなた?

正解は「被災地の電話番号、安否を確認したい被災者の電話番号」ですが、この部分、意外と呑み込めないのですよ。いざ171にかけると、電話番号って?誰の?どっちの?と、混乱してしまうのです。留守番電話とゴッチャになるのかもしれません。(余談ですが、「あんたの電話番号、何番だっけ?」と聞かれたこともあります。大切な人の連絡先は紙にも書いておきましょう)

また予行練習の段階では「誰が被災者の設定か、はたまた、どちらも被災者の設定か」によっても、想定は変わってきます。

そして「自分の番号に自分の安否を登録する」という、厳密に決められたルールはなく、これが絶対でもありません。認識を擦り合わせておかなくては、私が勝手にそう思っているだけで、思い込みの自分ルールになってしまいます。自分だけいくら正しい行動をとっても、こればっかりはお互いが同じ認識を持たなくては、もしくは相手のことを考えて想像力豊かに柔軟な機転をきかせないと、すれ違いが生じます。事実、母は、「娘の私が母の電話番号に安否の連絡を入れてくれている」と思ったのです。私は私で「自分の番号に入れただけ」です。見事にすれ違いました。でもこれが現実です。体験した意義がありました。現時点で状況を整理します。

私は、安否を知らせたつもりでいます。

母は、私の安否が確認できていません。

この結果に親子二人で「これは難しいわ」「実際の混乱した災害時はこんなの無理だわ」などと興奮気味に議論を交わしました。

再チャレンジ

そして気を取り直して、もう一度、私の携帯の番号で伝言を再生してみて。

と再挑戦をお願いして、電話を切りました。するとすぐに

「プルルルル」母から私に電話の着信です。

私「何? できた?」

母「!! いや、あれ、あ、そっか、117を最初にかけないといけないのよね」

はいはい。。。私の携帯番号に直接電話しちゃいましたね。

私「お母さん、117じゃないよ! 171! イチ ナナ イチ だからね!」

ふぅ。。。おもしろいな、まったく。見事にできないな。がんばって。

web171で伝言を確認してみた

その間に、母が間違って私の携帯電話に登録したという(←間違いでもないのですけどね)母自身の安否の伝言を「web171」を使って確認してみました。

(PCから見たweb171の画像)

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2件伝言が登録されています。

1件目は、私が私の携帯電話番号をキーに登録した「私の無事のお知らせ」

2件目は、母が私の携帯電話番号をキーに登録した「母の無事のお知らせ」

音声録音したので、文字ではなく、音声データが登録されています。

母が自分の安否をここに録音するのは、構わないのですが、これだと友人が私の安否を確認しようとして再生をすると、私の無事と私の母の無事の両方の伝言を聞くことになります。(ま、いいんですけどね、ただ、聞く人も時間を要しますね)

なので、その旨、一応母へ連絡。

注意点はいっぱい

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私「お母さん、伝言聞けたよ~。あのさ、「お母さんは無事です」って入れてくれてるけど、この伝言は、友人、知人、親戚も聞くからね。それは意識しておいた方がよいかもよ。ま、事情は察してくれるだろうし、わかるとは思うけどさ」

母「そうよね、世の中にお母さんはいっぱいいるからね。じゃ、名前言えばいいのかしら」

もうこれに関しては正解はないでしょう。家族に安否が伝われば、それでよいとも思うし、実際の混乱した状況下で、そんなことまで気を回してなんかいられないでしょうし。 暗証番号を設定する技もありますが、母が暗証番号まで使いこなすことは、確実に無理です。

先ほど、「母が間違って私の番号に安否連絡を登録した」と言いましたが、これに関しても、あながち間違いでもありません。それは両者とも被災地エリアだった場合です。仮に首都直下型地震が起きたとします。そうなると、東京の私も関東エリアの母も、両方が被災地エリアになる可能性は大です。すると、どちらの電話番号も「被災地の電話番号」となります。もし両者が被災者だったとしたら、正しい行動をとったつもりの私ですが、母への配慮が必要だったかもしれません。使い方に絶対のルールはなく、自由に使えてしまうのが、よくもあり、悪くもあります。はたして、どちらの電話番号に安否を登録するのか?はたまた、両方の電話番号に入れておけばよいのか?正解はないでしょう。つまり自分たちで決めておくのが効率的です。家族それぞれに個別の番号がある時代ですから、各人の番号に何度もかけ直すより、1つの固定電話番号をキーにして、家族はそこに連絡を入れるという使い方もできます。これについては、NTT側も事前に家族間で話し合っておくべきだとしています。

※ただし、登録できる伝言の数には限りがあります。ちなみに、登録可能件数を上回ると、古い伝言から削除されます。これ、怖いことです。最初に登録した「無事よ!」が消えてるかもしれないのです。

母、ふたたび、つまづく

さて、ところで、母は私の安否は確認できたのでしょうか?

私「私の安否、聞けた?」

母「それがね、171を押して、あんたの電話番号を押すと「この番号は使われていません」って言われちゃうのよ」

私「・・・???」2回ほど試してもらいましたが、結果は同じ。そして察しました。

私「お母さん、慣れてきたからガイダンスをちゃんと聞かないで、すぐに私の電話番号入れてるでしょ。たしか、1(録音)とか、2(再生)とか、入れないといけないはずだよ」

母「あら、そうなの? そうだわ、さっきは確か何か入れたわ。そうだ、あんたはプッシュ式でいいの?」

さっき出来たことが、もうできなくなっている。しかもプッシュ式かどうか聞かれること自体もおかしい。やっぱり混乱してるのね。(←でも私もそうでした)

ガイダンスの中で、プッシュ式か、ダイヤル式かを聞かれるのです。一瞬考えちゃうんですが、やはり母もそうでした。

私「あのね、プッシュ式かどうかは、私のほうじゃなくて、自分の電話機のことを聞かれてるの。ちょっとそれは自分の頭で考えてみて。本番で私に電話でプッシュ式かどうかなんて、聞けないでしょ?」

母「プッシュ式。あんたは?」(←まだ自分のなのか、相手のなのか混乱している)

私「そうだよね。プッシュだよね。でも私がプッシュ式かダイヤル式かなんて、どうでもいいのよ。自分の電話機のことを聞かれてるの!じゃ、もう一度やってみて」

ふたりが出した結論 

母「これは、すごい勉強になったわ。こんなに大変だって知らなかったもの。

私「そうでしょ。大変だから、一度やってみてほしかったの。でもね、結局、これがわかったからって、171に頼っちゃだめだと思うんだよね。むしろ、使えないと思っておいたほうがいいよ。だって、こんなに大変な思いして自分の安否を登録したって、それを聞いてくれる人がいないかもしれないんだよ。1件も登録がないかもしれないんだよ。(使い方がわからない。171を使うことすら思い浮かばない。とても使える状況にない。他の手段で連絡している。などの様々な理由で)それに、お母さんには、このために電話の長蛇の列に並んだり、義務感・使命感を感じたり、貴重な時間をとられて欲しくないんだよね。ましてや、発災直後なんて、連絡は無理だよ。そんなことよりも、お互いの無事を信じて、自分たちの安全と生き延びることを第一に考えようよ。離れていたら、何もしてあげられないんだから。生きていれば、いつかは無事が確認できるから。それが、この練習でよくわかったでしょ。だいたい、これ、災害当日に使えるかどうかだってわからないんだからさ。あてにしないでおこうよ。使うとしたら、状況が落ち着いてからにしようね。」

母「ほんと、そう。やめよう、やめよう。お互い自分の安全を第一に考えよう」 

離れて暮らす親子二人の結論は、ここに落ち着きました。そして、母にも私の考えが伝わり、そしてお互いにそう思える体験ができたことは、無駄ではなかったと思います。

決してこのシステムを批判するものではありません。災害の規模も大小もさまざまですし、地域やシチュエーションで状況は全然変わってきます。伝言ダイヤルで救われる人も大勢いるでしょう。私だって家族や大切な人の安否は1分1秒でも早く知りたいです。実際にそれが我慢できるかどうかもわかりません。きっと相当苦しいです。でも最悪の事態を想定して「通信に頼らない決意と覚悟」も必要だろうと、自分自身に言い聞かせています。自分自身が無事でいること、自分が生き残ることが誰かのための最大の思いやりであるかもしれないですし。

結局、母は私の安否を確認できた? 

この後、たまたまweb171を確認してみたら。おやおや。なぜか1件増えてます。

(スマホからみたweb171画面)

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母はまた登録したのでしょうか。自主トレでしょうか。

3件目を再生してみると、無言でした。(汗)まだ四苦八苦しているようです。恐らく再生と録音を間違えたのでしょうかね。

そして、始まりから1時間半経過してもなお、私の安否は、確認できていないということでしょうか(涙)

 

首都直下型地震で災害伝言ダイヤルは使いものになるのか?

 ご利用いただける伝言の総容量は約800万件ですが、被災地の多くの方に利用していただくために、災害が発生した地域によりお預かりできる伝言蓄積数が異なります。(電話番号あたり(1~20件))

出典:NTT東日本 (令和2年2月現在)

 

〇東京都の人口は 1395万人 (令和2年1月時点)

 23区だけでも 900万人超

〇東京都の昼間の人口は 1592万人 (平成27年国勢調査)

 23区だけでも 1203万人

東京の人口が、伝言の総容量を超えてますね。

多くはコメントしません。 どうか、お察しください。

 

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これらは、NTT災害伝言ダイヤル171の2020年2月の現状です。携帯電話各社の伝言板は、この限りではありません。